「うつ状態」を経験して思ったこと

ビジネススクールには「うつ」の障がいがある利用者さんがいます。

「うつ」の発症時期は学生時代が多いです。
その頃から現在まで症状を抱えながら生活されています。

「朝が起きられない」「すぐに怠くなる」「集中力が続かない」などの特性があり、生活に支障が出ます。

利用者さんはお医者さんから処方された薬を服用されていますが、副作用が少なからずあり、またその症状に悩まされます。

 

気さくなAさん


私が担当している女性のAさんもその一人です。
傍からみると、「さわやかなお姉さん」です。
一見すると「うつ」の障がいがあるとは分かりません。


Aさんは、単発のアルバイトをしていましたが、年齢が30歳を過ぎ、「このままじゃいけないな」と思っていたところ、雑誌でカラフルの広告を見て、自分からアポイントをとって体験に来られました。

Aさんは体験期間が長く、本利用を決めるまでなかなか決心が着かなかったそうです。
理由は、「今までのライフスタイルが変わるのが怖かったから」とのことでした。

Aさんは、朝は起きるのが難しく、これまで自由に寝起きしていたのが、カラフルを利用するとなると朝礼の午前10時には来ないといけません。

カラフルを利用開始された当初は、休みがちでした。
欠席の電話連絡も「体が重くてベッドから出る事が出来ません…」ととてもしんどそうな声でした。

でも、今は遅刻する日がありながらも、お休みする日はありません。

だから朝礼に間に合ったときは「良かった~♫」と満面の笑みを浮かべています。

 

とても気さくで明るく、他の利用者さんやスタッフといつも楽しくおしゃべりをしています。

授業でも前半は元気で活発に意見を出してくれます。
しかし、後半になると、「うつ」の特性が出て、ズドンと疲れが出て机に伏せてしまうことが多いです。



毎日休まずに頑張って通うことを目標にしているAさん。
「今週も遅刻しちゃったけれども、休まずに来ることができた♪」
と目標を達成したことを嬉しそうに伝えてくれます。

以前の私は
「本当は遅刻しないで、もう少し早く来てくれるといいんだけれどもなぁ~」
とやきもきしながら思っていました。



(※「うつ」の障がいがある方へは特に、本人がとても気にしていることを伝える時は注意を要します。時間をおいてから伝えたり、本人の心身の状態が良い時に伝えたりするなど工夫が必要です)

最近は、頑張って来ている彼女の姿を見て
「毎日来ることが出来ているのはスゴイことだから良しとするか☆」
と思う自分がいます。



なぜ、そのように私が思うようになったのか?
昨年私自身が「うつ状態」を経験したことからなのです。


「うつ状態」を経験して思った事


私事ですが、昨年11月に母が白血病で亡くなり、翌12月には弟が持病を苦に自死しました。

母は次第に食が細くなっていったので覚悟は出来ていました。
弟は突然だったので、連絡があった時は全身から血の気が引いて立っていられませんでした。



母の葬儀の時、私が「最近の体調はどう?」と尋ねると「姉さんが心配するほどじゃないよ。大丈夫だよ」と言っていたのに、変わり果てた姿を見て呆然としてしまいました。

葬儀が終わり、忌引休暇を頂いている間、体に力が入らず、ほぼ一日中リビングの床に横になっていました。



立ち上がって何かをする気力が無く、とてもしんどかった。

食事をとること、新聞を読むことなど、することなすこと全てが面倒。

そして夜は眠れない。

生きる屍状態。


「このまま私も死にたい」
「死んだら二人に会えるかな」
「生きていてもいいことないな」
「死ぬのはそれほど怖くないのかも」
などなどネガティブなことがずっと頭の中をループしていました。



(休暇が明けたら、本当に仕事に戻れるのだろうか?)
有給を使ってもう少し休ませてもらおうかと思いましたが、重い体をやっとこ起こして行くことは出来ました。

重い体を起こした時、研修で「うつの方はお米の袋10キロをいつも背負っている状態だと思って下さい」と聴いたのを思い出しました。

「あぁ、この事か…。これはしんどいな…」

それまで自分が「うつの状態(正確には悲嘆反応)」であることが自覚出来ていませんでした。





仕事が始まっても、心と体が付いてきてくれない…。

表面上は取り繕っているものの、内面は限界。

家に帰るとバタンキューです。
Aさんもカラフルから家に帰ると、疲れてまず寝ると話しています。

現在は、お陰様で病院に受診することなく、周りの方からアドバイスをもらって何とか元気になりました。

時々、街中で母や弟にそっくりな人を見かけると涙が出る事はありますが…。

【※ご参考までに】
もし、私と同じ経験をして苦しんでいる方がいたら、NHKのハートネットのサイト(←クリックしたらサイトに移動します)「自殺と向き合う。生き心地のいい社会のために」の中の「大切な人を亡くした方からのメッセージ」を読んでみて下さい。
また、サイトの中から自分の思いを投稿することも出来ます。
自分だけではないと知る事で、少し楽になるのではないかと思います。

自分も自ら死を選択した人も、どちらも悪くないのです。
どうか自分を責めないでくださいね。
そして症状が長引く(2週間以上)のであれば無理せず、お医者さんに相談して下さいね。


障がいに寄り添う


それぞれの利用者さんの障がいを経験することは難しいことですが、私は期せずして似た状態を経験しました。

その障がいについて豊富な知識があったとしても、そのつらさを想像して寄り添うことが出来なければ、その障がいを理解することは出来ないのではないかと痛感しました。



「出来ていないからダメ」ではなく、本人が頑張って努力しても出来ないことがあります。
「つらいよね。無理しないで、出来る範囲でいいから頑張ってみてね」と、努力している過程を認めること。

もし、自分がその人だったらと想像すること。
支援をしていく上で基本かもしれませんが、改めて気づきました。

 

家族・友人に「うつ」の障害がある方がいらっしゃる方へ


私が日頃、利用者さんに接していて思うことですが、「うつ」がある方は自力で気分を調整することがとても難しいです。
特に天候や気圧に左右されることが多く、雨や雪の日など気圧が低い時は体や気分が重くなります。

天気が悪い日は、「もしかしたら今日は体が重くてなかなか起きるのが難しいだろうな」と予想して、起きなければいけない時間よりも少し早めに起床を促してあげて下さい。
本当に体が重くて起き上がるのに時間がかかるのです。
Aさんはよく「亀の甲羅を背中にしょっているみたい」と言います。


反対に「今日は気分がいい」とにこやかにしている時は一緒に楽しんで下さい。
楽しむ時は、本人があまりテンションが上がり過ぎないように気を付けてあげて下さい。
テンションが高い時は、元気でとても行動的になりますが、後で疲れが出ることをつい忘れてしまいます。

「うつ」の障がいの改善への道のりは、トンネルがとても長く先が見えづらいと思いますが、本人さんが日々頑張っている姿を見守って欲しいと思います。