こんにちは(^^)/
ご無沙汰しております。ビジネススクールの支援員です。
この度おめでたいことがありましたので、ご報告です。
カラフルが開業して間もない頃から利用されている利用者さん(以下、Zさん)の就職が決まり、
この3月にめでたく卒業されました☆
金沢市内の会社にお勤めされます。
今まで仕事・アルバイトの経験が一度もなく、人生で初めてのお仕事になります。
就職が内定して卒業までの日々は、嬉しい気持ち半分、不安・心配が半分だったようです。
ある日、Zさんより「カラフルで色々と学びや気づきを得たけれども本当に大丈夫でしょうか?」と尋ねられました。
「私も初出勤の時、最初は不安だったよ。でも「案ずるより産むが易し!」世の中、やってみないと分からないことって多いと思うよ。働いてみて困ったことがあったらいつでも相談してね」と答えました。
とっても控えめなZさんの初の就職
Zさんはとっても控えめな方です。
時々、「もっと自分を出してもいいのになぁ~」と、もどかしく思うのですが、Zさんにとってはその状態が安心なのです。
カラフルでは卒業する日に皆の前で卒業証書をお渡しします。
Zさんは今までに卒業された利用者さんを見て来たこともあり、
「みんなの前で受け取るのは気恥ずかしいので、事務室で受け取ることは出来ませんか?」と皆の前で証書を受け取るのをためらっていました。
「どうして?」と私が尋ねると、
「もし、皆の前で証書をもらったのに、お仕事が続かなかったら申し訳ないので…」とお話されました。
「お仕事はやってみないと分からないし、仕事場の方もZさんに配慮してくれるから今から心配しなくてもいいよ~。証書をもらうのは一瞬だから頑張ってみて!」とアドバイスしました。
Zさんは、恥ずかしい気持ちでいっぱいでしたが、勇気を振り絞って皆の前で証書をもらうことが出来ました☆
証書をもらう瞬間まで、私もドキドキ・ハラハラしてしまいましたが、もらうことが出来た時「良かった~!Zさん頑張ったね!」と、とっても嬉しく胸をなでおろしました。
私がカラフルに勤務してZさんに初めてお会いした時、とても低姿勢で丁寧な言葉遣いをされて「他の利用者さんと違って、ずいぶん腰が低い方だなぁ~」という印象を受けました。
最初は慣れていないから丁寧に接してくれるけれども、次第にフランクになるのかな?と思っていましたが、卒業するまで変わりませんでした(^^;)
話し方だけではなく、行動もとても慎重で無茶をすることなど皆無でした。
正に「石橋を叩いて渡る」ということを実感させてくれた利用者さんです。私もZさんを見習わないといけないですね💦
カラフルに通われた約3年間は無遅刻で、用事がある時を除いては皆勤賞です。
素晴らしい!!
自己肯定感が低いのは何故だろう?
授業やイベントで、Zさんにスタッフが、「これやってみない?」と勧めると、
「やったことがないので、きちんと出来るかどうか自信がないです…」
「遠慮しておきます」
「僕には難しいかなと思います」
など、まず一度遠慮されて断りが入ることが多かったです。
どうしてここまで慎重なんだろう?過去に何かあったのだろうか?と疑問が湧いてきました。
Zさんは学生時代に不登校の時期がありました。
その頃のことが心に引っかかっていて、他の人とコミュニケーションを取る時にとても慎重になってしまったり、「自分なんて…」と自己肯定感が低いのだろうか?
Zさんの過去のことも考慮する必要がありますが、もう一つ考えなくてはならないことがあることに気づきました。
Zさんの障害(自閉症スペクトラム障害)について
Zさんの障害は「自閉症スペクトラム障害」です。
この障害についての特性はネットで検索すると色々出てきますが、Zさんを支援していて思うことは、「コミュニケーション」に特性があるなと思いました。
「コミュニケーション」について
生来の真面目な性格であることも関係していると思いますが、会話の中での冗談やたとえ話をそのままストレートに受け止めたり、難しく考えてしまう特性がありました。
授業でも、問いかけに対して、私の考えが及ばないような先の先のことまで考えすぎてしまい、しんどそうな場面が度々ありました。
でも、これはZさんの特性なのです。
今後もうまく障害と付きあっていく必要があります。
そして、Zさんは自分の特性を理解し、これから付き合っていく周りの方に障害のこと、配慮して欲しいことを伝えていく必要があります。
カラフルの授業の一つに「障害理解」というプログラムがあります。
このプログラムは、自分の障害の特性について理解を深めて、文章にまとめて発表をします。
その際、「こういう時はこういうサポートをしてくれると助かるなぁ~」ということもお伝えします。
Zさんも皆の前で自分の障害について緊張しながらも発表をしました。
みんなの前で発表をしたことで、「他の人に障害を伝える」ことについての抵抗は少し薄らいだようです。
なので、勤め先でも社員の方に伝えることが出来ると私は信じています。
カラフルで過ごしているうちに変わった!
Zさん卒業当日、最後の授業のアイスブレイクで、私が何にしようかな~?と考えていたら、他の利用者さんが「Zさんに一言ずつ贈る言葉をかけるというのはどうですか?」と提案があり、早速採用です!!
Zさんには嬉しいサプライズです!(^^)!
みんな一人一人温かい言葉をかけてくれました。
カラフルに勤めていて、本当に素晴らしいなと思うのは、カラフルの利用者さんって心の優しい方が多いなということです。
純粋で真っ白、何の打算もない。とても眩しく感じます。
ずっとその気持ちを忘れないでいて欲しいなと思います。
励ましの言葉のほかに印象的だったのは、「Zさんが利用を開始された頃から比べるとすごく変わったね☆」とお話される方がいたことです。
「授業でグループワークの時、なかなか意見をお話してくれることがなかったけれども、次第に自分の意見を話してくれるようになったね」「引っ込み思案なところがあったけれども、だんだんと素が出てきたと思う」「いろんなことに積極的に挑戦するようになってすごいと思った!」などの言葉がありました。
Zさんは嬉しい気持ちを皆に伝えて「なかなかこんな機会がないので、とても嬉しいです。ありがとうございます」とお礼を伝えました。
確かに、いつの頃からか忘れましたが、Zさんは「ヤル気スイッチ」が入って考え方が前向きに変わっていきました。
何がきっかけかは思い出せないのですが、まず「身だしなみ」に気を遣うようになられました。
親御さんが用意してくれた洋服を着るだけではなく、近所のリサイクルショップで自分に合いそうな洋服をきちんと試着して「自分に似合う」ことを確認されてから購入して、カラフルに着て来られるようになりました。
スタッフや利用者さんに「イイね!」と褒められるとうれしくて、おしゃれさんになっていきました。
次は、頑張って普通自動車の運転免許の取得をされました。
スタッフや利用者さんに「どこの自動車学校がいいですか?」とリサーチして、
よく考えられて決めていました。
学科の勉強は問題がなかったのですが、教習は大変だったようです💦
Zさんは事前に自動車学校に自分が「自閉症スペクトラム障害」があることをお伝えしていましたが、
教官の方は厳しかったようで(;^_^A
私の時も厳しい教官がいたのでよく分かります。
でも安全に運転するためのこと。決して意地悪?!ではないのですよ。
教官に叱られて、上手くいかなかった次の日はとてもへこんでいました。
それでも、スタッフや他の利用者さんからの励ましに支えられて、何とか辛い教習を乗り越えて頑張って取得することが出来たときは、みんなも大喜びでした!
また、パソコンでMOSの試験にも挑戦して合格することが出来ました。
ブログを書きながら改めて振り返ってみると、Zさんはすごく頑張ったな~☆と感心しました。
Zさんにインタビューしてみたところ・・・
①カラフルを利用するきっかけは?
社会福祉協議会でカラフルのパンフレットを見せてもらった事と当時のケアマネージャーさんに勧められたからです。
②カラフルを利用する時、不安や迷いはありましたか?
みんなとうまくやっていけるかどうかコミュニケーションに不安はありました。
③カラフルを利用する決め手は何でしたか?
他の事業所にも見学や体験をさせて頂いたのですが、カラフルが一番自分の居場所だと思えたからです。
また自宅からバス一本で通える場所だったからです。
④カラフルで気に入っているところはどんなところですか?
カラフルの利用者さんは優しい方が多いですし、スタッフさんも一生懸命向き合ってお話や相談をしてくれるところです。
⑤カラフルを他の人にオススメしたいですか?
コミュニケーションが苦手な私でも、私の特性(個性)として受け入れて下さったのが嬉しかったので、オススメしたいです。
⑥自由に一言どうぞ!
カラフルは受け入れが広い事業所だと思います。
初めての仕事で緊張すると思いますが、Zさんなら大丈夫!!
これからも色んなことに挑戦して素敵な社会人になって欲しいです。