カラフルの利用者さんは、統合失調症の方が多いです。
私の知り合いにも、この障害がある方がいます。
約100人に1人は統合失調症を発症するそうです。
この数字は、民族・文化・時代に関係ないとのこと。
誰でもいつでも発症がありうるのです。
調査によれば、平成26年度は日本全国で約77万人の患者が治療を受けているとのこと。
この数は年々増加しているそうです。
それだけに、この障害について広く理解されることが必要だと思うのですが、同じ精神の障害でも発達障害やうつ病がメディアで多く取り上げられています。
統合失調症についての認知が日本ではまだ薄いように思えます。
そのため、私の知り合いは
「不調だな?」と思っても、「うつ病」か生まれつきの性格だとずっと思っていました。
人間関係が上手くいかず、仕事を転々とし、何もかも嫌になり時々失踪をすることがありました。
本人も周りも「おかしいな?」と思って受診をしたところ、「統合失調症だった」と話してくれました。
本人曰く、「いつからその障害があったのだろう?全く見当がつかない」と話していました。
もし、統合失調症の情報があれば、もっと早くに受診したとのこと。
統合失調症がある方は、幻聴・幻覚があったり、言動と行動が二転三転することがあります。
また、思考が独特だったり、疲れやすかったりします。
「統合失調症ってどんな障害なんだろう?」と思い、障害の理解を深めたくて、書籍をさがしたところ、統合失調症がある方が、自分の日常の生活について書いたマンガがありました。
早速読んでみましたが、「私は耐えられるだろうか?」と不安になりました。
同じ世界に住んでいるのに、周りの人と違う景色が見えていたり、聞こえてくる音が違うのは、とてもつらいだろうなと思いました。
この障害について調べたり、当事者の方の体験談を読んだところ、この障害は改善できることが分かりました。
また、周りの温かい理解と支援があれば、自立も可能であることも分かり希望が見えてきました。
「統合失調症」は思考、「躁うつ病」は気分
統合失調症が「思考」の障害であるのに対して、躁うつ病は「気分」の障害とのこと。
うつ病は躁の時期とうつの時期がはっきりと分かれて、その中間でフラットな時はいつもの自分でいられるのですが、
統合失調症のは、うつ病と違いそのような時期があることは殆ど無いそうです。
統合失調症は、発症の要因は、遺伝的な要素は少ないそうです。
それよりも、性格や環境が影響するようです。
性格は大人しく、繊細な人で、もともとストレスに対する耐性が弱い方が多いようです。環境は、ストレスが多いと発症の確立が高くなります。
統合失調症は早期発見がカギ
統合失調症は、早期に受診をすれば改善も早くなります。
それだけに統合失調症が発症する前兆に本人を含め、周りの人が気づくことが大切です。
①統合失調症の発症の前触れのサインが現れる
発症の前触れのような体調の変化がみられることがあります。
眠れなくなったり、物音や光に敏感になったり、あせりの気持ちが強くなったりします。
「ちょっと疲れているのかな~」と一時的に思ってしまい、分からないことが多いようです。
②統合失調症の症状が出てくる
幻覚、幻聴などの症状が出てきます。
不安や緊張感、敏感さが強まってきます。
その為、周りの人とのコミュニケーションがとりづらくなります。
③うつ状態に似た症状が出てくる
つらい時期を過ぎると、ヤル気がなくなったり、頭がまわらなくなる、食欲がなくなる等、うつ状態になります。
3
④うつ状態から抜け出す
次第にうつ状態から抜け出してきますが、認知機能障害が現れることがあります。
認知機能障害とは、例えば会話中に周囲の音が気になって落ち着きがなくなったりなどがあります。
その為、周りの人の支援がないと、生活しづらい時もあります。
行動特性
行動の特性はいくつかありますが、利用者さんと日頃接していて、私が特に思う二つについては下記のとおりです。
<適度に休むことが出来ず、疲れやすい>
もともと疲れやすいのに加えて、適度に休憩をとることが困難で、休憩したいと申し出る頃は、疲れがピークに達していることが多いと思います。周りが見守って「疲れていないか?」と声かけする必要があると思います。
<臨機応変な対応が難しい>
固定した行動パターンに安心感を覚えるので、変化・変更があると、「間違った行動・言動をしているのではないか?」と不安になります。
このときは、本人が不安に思う事を予測し、細かく教えてあげること、変更したことは大丈夫であること、間違ってはいないことを丁寧に本人が理解・納得するまで説明することが必要だと思います。
障害の理解と本人の生活改善の努力が何より大切
日本では統合失調症への理解が進んでいないこともあり、ちょっとした情報のみを知っただけで分かったような感じになっていることや、以前「精神分裂病」と呼ばれていたことも関係して、偏見があったり、近寄りがたい感じになってしまっています。
そのため、この障害がある方とそのご家族は、周りに知らせず、隠してしまうことが多いようです。
このままでは、本人とご家族がつらい思いを抱えたまま生活することを余儀なくされます。
統合失調症を正しく理解し、
本人が自分自身を肯定できる環境が整えられれば、お互いに生きやすくなります。
また本人も、生活リズムを整え、適度な食事と運動(最初はお散歩でOKです)をすることを心掛ける事が大切です。
心と体はつながっています。
心だけではなく、体も元気になれば、相乗効果で症状が改善されると期待されています。
統合失調症がある利用者さん
カラフルの利用者さんは、それぞれのつらさを抱えていますが、何よりみんな笑顔が素敵です。
心が優しく、気遣いができる方ばかりです。
一緒にお話をしていると、ユーモアたっぷりの話で、お互いに笑顔になります。
その笑顔に私は助けられることが多くあります。いつも感謝しています。
また、授業では、自分が思いつかないアイデア・発想を発表されて、
「すごいなぁ~!!」「へぇ~、そんな考えもあるんだ~!」といつも感心します。
私が知らないたくさんのことを、皆は知っていて
楽しそうにいつも教えてくれます。ありがとう(^▽^)/
素敵な個性をそれぞれ生かして、これからも頑張って欲しいなと思います。