「不登校」や「ひきこもり」はどうして起きるのか?

肌を突き刺すような冷たい風が吹いていました。



冬の金沢の朝ではいつものことです。
出来る事なら、ぬくぬくの布団の中で、ずっと夢の中にいたいと誰もが願っています。
そんな日でも彼女は、いつも通りの時間に教室にやって来ます。

「陽子ちゃん、おはよう♪」
先に来ているみんなが元気にあいさつをします。

「・・・・。」
彼女は、ぺこっと軽く申し訳なさそうに頭を下げました。
みんなには聞こえませんが、彼女は精一杯の声を出してあいさつをしていました。
でも、声が小さすぎてみんなに聞こえません。


「明るくあいさつが出来たらどんなに楽だろう?」
みんなと同じように元気な声を出して挨拶をしたいのです。
けれども、全力を振り絞って言葉を出そうとすると途端に苦しくなるのです。

みんなはそれを咎めません。
彼女が教室に来てくれたことだけで良かったと思っています。

彼女は12年間、自宅に引きこもっていました。
それゆえ、「人とどう接したら正解なのか?」、「どう振る舞えば良いのか?」と
考えるだけで息が詰まり苦しくなるのです。それに連鎖して思い出したくない過去が蘇ってきてしまうのです。
「どうして自分はみんなと違うの?」「みんなと同じことが出来ないの?」と自分を責めてしまいます。

静かな教室内で「シャカシャカ」と音が漏れて聞こえてきます。
彼女は時間があればスマホで音楽を聴いています。
周りに音が漏れていることが分かっていないようです。聞こえてくる音量はかなり大きいです。
そばにいる子が心配になって
「音が漏れているよ?大丈夫?耳が痛くならない?」
と聞いていましたが、彼女は「コクン」と軽く頷くだけなのです。

人とのコミュニケーションが必要である現実から一時でも逃れたいと彼女は思っています。
でも、心の片隅には人とつながりたい希望も持っています。

今は、長い間に出来てしまった固い固い自分の殻を少しずつ破いていくしかないのです。
バレンタインデーが過ぎた頃から日が長くなってきました。春は間近です。
もどかしい思いをしながら、彼女は新たな自分の人生を歩み始めています。




「引きこもり」は病気じゃない?

一般的な定義として、「引きこもり」は、家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅に引きこもっている状態です。
本来ならば、本人・家族・社会が関わりを持ちながら日々の生活が営まれています。
本人が「引きこもり」になると、社会との接点がなくなり、また家族も「引きこもり」であることを外部に相談するのは恥ずかしいと思ってしまうと悪循環に陥ってしまいます。 
「引きこもり」は病気じゃないという考えが広まっていますが、「うつ」「自殺」にならぶ社会病理として研究がなされています。将来は、画期的な回復方法が見つかるかもしれません。
「引きこもり」には病気の場合もあるので注意が必要です(統合失調症で無気力状態が続き引きこもりになる場合もあります)。

「引きこもり」「不登校」について


引きこもり・不登校のきっかけは人それぞれですが、原因のほとんどは挫折経験です。
勉強についていけない、友人・先生・部活動の人間関係、いじめもあるでしょう。
ケースによっては、家庭内の虐待などの外から見えない問題もあると思われます。

本人から自分の内情を訴えることができる人は数パーセントでしょう。
残りは、周りが少しの変化に気づいて早めに対処することが大切です。

気付いているのに、「何とかなるだろう」「他の誰かが対処するだろう」と何もしないでいると、後で事態が大きくなっていまいます。

~私の体験から~
先月、利用者さんで高校を中退した方が、将来の就職のために高卒の資格が欲しいとのことで、通信制の高校に通いたいとの希望があり、説明会に同行しました。
石川県は進学率が高いので、通信制の高校に通う人は少ないだろうと思っていたのですが、私の予想は見事に覆されました。
会場には、椅子に座りきれず、立って話を聴く人が出るほどの人が参加していました。
受付の様子を見ていると、金沢市近郊に限らず、能登や加賀の方から参加されている方もいました。
私と利用者さんは補助のパイプ椅子に座って説明を聞きました。

学校に通いたいのに、通えない。
事情は人それぞれ。
本人だけではなく、ご家族の方も心配です。
みなさん真剣に説明に耳を傾けていました。

入学後の事についての説明を聞いていると、通信制の厳しさが伝わってきます。
勉強の内容は普通制と変わりません。自分で計画を立てて、進んで勉強する習慣をつけなければいけません。


日々の自主学習に加えて、学校へのレポート提出、日曜日か月曜日にスクーリングに参加、テスト、課外活動、クラブ活動があります。

振り返ってみると、私は、のほほんと高校生活を過ごしていてました。
改めて自分は恵まれていたのだと思いました。



自宅から遠い高校でしたが、親は何も言わずに通わせてくれました。
毎朝、決まった時間に登校して、勉強はほどほどに、放課後は部活動して仲間と帰る日々でした。
大学の進路相談の時は、先生方が自分のことを色々と親身に考えてくれていました。

通信制の学校説明会に来ている方は、心機一転して高校生活を始めようとしています。
それぞれライフスタイルは違うと思いますが、是非頑張って欲しいなと思いました。

本人は、不登校・引きこもりでいることを楽しんでいたり満足している訳ではありません。
最初は気力がなくて動けず、やむを得ず家の中にいなければいけない時もあると思います。
でも、本当は、苦しくて、出来ることなら現状から抜け出したい!と切に願っています。
自分から抜け出すことが難しい時は、助けを借りるのが有効です。

脱出方法

①心療内科・精神科の診察を受けてみる
 うつや統合失調症などの精神的な疾患を抱えている場合があります。早期治療を受ける事が大切です。
また、自宅から通いやすいところや、本人に合った医師を見つけることが大切です。

②自治体の引きこもり地域支援センターを利用してみる
 石川県には、18歳以上の当事者の方が集まって交流するグループや家族の交流会があります。
一人で考え込まずに、同じ悩みを持っている方と話し合うことで解決の糸口が見つかるかもしれません。

③社会福祉協議会に相談してみる
 相談を受け付けているだけではなく、生活支援が必要な方については、支援が受けられるまでサポートしてもらうことが出来たり、引きこもりに関する講座等が開かれています。

④NPO法人、民間の支援団体を利用してみる
 NPOのフリースクールや同じ悩みを持つ方が立ち上げられた団体があります。色んな団体があるので、まずは見学、体験してみて本人に合ったところを利用してみてはいかがでしょうか?

⑤カラフル・金沢を見学・体験してみる
 手前味噌になりますが、カラフルを見学・体験してみませんか?
事前に御連絡いただければ、平日9時~午後3時(お昼休憩が12時~13時にあります)の間で他の利用者さんと一緒に体験することが出来ます。

不登校・引きこもりが長期化すると、ますます孤立が深まっていまい、脱出する機会をつかむのが難しくなっていきます。

脱出したいと思った時がその時です。
同年代の他の人にくらべると、ブランクが出来てしまったと悩むこともあると思いますが、
長い人生の中では、ほんの少しの期間です。
挽回はいつからでも出来ます。
相談をする時は、本人・ご家族共に、つらい思いをされるとおもいますが、
勇気を出して一歩を踏み出して欲しいなと思います。