先日、スタッフ研修がありました。
大学の心理学の先生をお招きして、利用者さんとの接し方について事例検討をしました。
「どうやって利用者さんと接していったら、お互いに楽でいられるのだろうか?」ということを考えました。
先生やスタッフの意見など、色々と自分の頭にはない、為になるお話を聞くことが出来ましたが、一つ考えさせられる先生の言葉がありました。
「褒めてはいけませんよ」
それは何故か?というと、「褒める」というのは上から目線なのだそうです。
褒められた人は、その時は「褒められた~♫」と嬉しくなっても、
家に帰って、お風呂に入っている時や寝る前に「褒められた」ことについて
考えてしまい、「何で褒められたんだろう?」「上から目線で言われた!!」と
思考がネガティブな方向にいってしまうそうです。
私の実体験でいえば、直接褒められるという事は少なくなったかなと思います。
どちらかというと、人づてに「先生が○○なところを褒めてたよ~」「○○さんが褒めてたよ~」と聞くことが多いです。
「何で直接言ってくれないんだろう?」と思いますが…。
では、「褒める」のではなく、どうすればいいの?
研修が終わった後、先生の話をきちんと聴いていたのですが、「今までしていたことは間違っていたの?」
とモヤモヤしたので、調べてみると、この考えは「アドラー心理学」によるものだということが分かりました。
「褒めない」で検索すると、心理学者・アドラーの考えの一つである
何件か記事を読んでみましたが、納得がいくものと、頭の中が「?」でいっぱいになるものがありました。
よく言われる「褒め育て」というのは間違いなのでしょうか?
相手の自己肯定感を高める「アイメッセージ」
記事を読んでみて、私が「認める」方法として納得のいくものが一つあったので紹介します。
「相手を認める」=「相手の自己肯定感を高める」方法は色々とありますが、その中に「アイメッセージ」という手法があります。
これは、アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士が著書「親業」(Parent Effectiveness Training)にて提唱した、親の役割を効果的に果たすためのコミニュケーション手法です。
例えば、子どもが野菜をモリモリ食べていることに対して
「野菜をモリモリ食べて偉いね」と褒めるのは、やめた方がいいとのこと。
これを「アイメッセージ」を使うとこんな感じになります。
「野菜をモリモリ食べているね。(あまりにおいしそうに食べているものだから)私も食べたくなってきちゃった♪」と伝えます。
ポイントは、「相手の行為」と「自分の正直な感情」を伝えることです。
単純に、事実(相手の行為)と自分の感情を伝えているだけなので、相手を支配することにはなりません。
つまり相手の存在価値や潜在的能力を否定せず、相手を「認めている」ということになります。
改めて思うこと
アドラー心理学では、人を育てるには「上から評価して褒める」のではなく、「横(対等な立場)から勇気づける」ことが有効だとあります。
褒めることの正体は依存心を育て自律性を奪ってしまう。
人はどんなときに最も勇気が湧くか?といえば、組織や共同体への貢献を「横から感謝された」時とのこと。
こうした感謝を何度も受け取ることによってのみ、人間は自律的に成長していく勇気を獲得することができるとアドラーは述べています。
確かに、「褒める」ということを日常にしていると、褒められることを目的として色々と行動をしてしまうことがある可能性はあります。
褒められないと「がっくり落ち込んでしまう」ということが起こりえます。
私は、海外の心理学を取り入れることは役に立つこともあると思いますが、日々支援して思うことは、その場の流れで「認める」・「褒めない」にこだわらなくても、自分が「素敵だなぁ」「すごいなぁ」と思うことを素直に伝えれば良いのではないかと思うのです。
日本人の特徴で、自分のことを良く言われると、最初は謙遜したり、自分はそういう人間ではないと否定することから始まると思いますが、
言われ続けると「自分って、自分が思っているよりも大丈夫かも♪」と徐々にですが自信がついてくるのではないかと思うのです。
というのも、私の習い事の仲間のお一人の方が、私の何気ないことについて、その方が「素敵だなぁ」「いいところだなぁ」と思われたことを素直に私に伝えてくれるのです。
最初はくすぐったくて「お世辞でしょ?」と思っていましたが、次第に「わぁ~い♪嬉しいなぁ♪」と心の中がウキウキ嬉しくて、その方のお陰で、その日はずっとHAPPYです☆
他の人のいいと思ったところを素直に自分の言葉で、恥ずかしがらずに伝えることが大事なのではないかと思います。
カラフルでは、スタッフが利用者さんに言葉かけするだけではなく、利用者さん同士でもお互いにいいところを見つけ合っています。
例えば髪をスッキリ散髪した利用者さんが教室に入ってくると「わぁ~スッキリしたね♪私は○○さんの髪型がスッキリしていて好きだなぁ~」「私もそんな風にしてもらいたいなぁ~」と言葉かけをしていますよ。