こんにちは、リワークスクールの支援員Mです。
今回はご家族に向けた記事を書いてみたいと思います。
これから発達障害の検査をしようか悩んでいらっしゃる方や、就職に悩む家族へのお声かけに悩んでいる方にはぜひご一読いただければと思います。
〈ご注意〉当事者の皆様にとっては共感しづらい表現があるかもしれませんが、もしお読みくださる場合は「うちの家族もこんな気持ちなのかなぁ~?」と視野を広げるような感覚でお読みくださいね。
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なかなか仕事に就けない、なかなか続かない、トラブルが絶えずに思い悩んでしまう…。
そんなご家族の姿を見て、不安な気持ちになってはいませんか?
筆者自身、発達障害ではありませんでしたが、抑うつ状態での退職・転職を繰り返した「当事者」の気持ちと、発達障害の家族を支える「当事者家族」の気持ちを両方経験しています。
発達障害の診断を受けたご家庭はもちろん、「もしかして発達障害なのかな…?」と思っているご家庭も、家族同士支え合って生きていくにはどうしたら良いのか、一緒に考えていきましょう!
・発達障害とは?
まずは発達障害がどんなものかを知るところから始めましょう。(※太字部分以外の詳細部分は文部科学省HPより引用しました。)
発達障害とは、発達障害者支援法において「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。
主な発達障害
自閉症 <Autism>一言で言うと「強いこだわりがあり、コミュニケーションが取りづらい」脳の特性です。
自閉症とは、3歳位までに現れ、1他人との社会的関係の形成の困難さ、2言葉の発達の遅れ、3興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
(平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」参考資料より作成)
高機能自閉症 <High-Functioning Autism>一言で言うと「知的な遅れのない自閉症で、相手の気持ちを察することが難しい」脳の特性です。
高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、1他人との社会的関係の形成の困難さ、2言葉の発達の遅れ、3興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。
また、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
(平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」参考資料より抜粋)
学習障害(LD) <Learning Disabilities>一言で言うと「計算や文字の読み書きなど、特定の能力の習得に困難が生じる」脳の特性です。
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。
(平成11年7月の「学習障害児に対する指導について(報告)」より抜粋)
注意欠陥/多動性障害(ADHD) <Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder>一言で言うと「気が散る・忘れっぽい等の注意力の欠如、もしくは思いつきで行動する等衝動性が強い」脳の特性です。
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
(平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」参考資料より抜粋)
※ アスペルガー症候群とは、知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものである。なお、高機能自閉症やアスペルガー症候群は、広汎性発達障害に分類されるものである。
「もしかして、発達障害かも?」と思ったら…
本人ではなく家族が先に発達障害の可能性を感じた場合、どのように話を切り出し、どのように診断を受ければ良いのかご存じでしょうか?
まずは発達障害の診断の流れについて説明します。(話の切り出し方については次項)
まずはチェックシートで確認してみる
以下の項目のうち、該当するものはいくつあるでしょうか?(チェックシートは文春オンラインより引用しました)
【A】
・何かをするときは一人でやるほうがいい
・同じやり方を何度も繰り返し用いることが好き
・何かを想像するとき、イメージを簡単に思い浮かべることができる
・自分では丁寧に話したつもりでも、話し方が失礼だと周囲の人に言われることがある
・他のことが全く気にならなくなるくらい、何かに没頭してしまうことがある
・他の人が気がつかないような小さな物音に気がつくことがある
・車のナンバーや時刻表の数字など、特に意味のない情報に注目することがある
・相手の顔を見てもその人が考えていることや感じていることがわからない
・あることを、他の人がどのように感じるかを想像するのが苦手
・他の人の考え(意図)を理解することは苦手
【B】
・物事を行うにあたって、難所は乗り越えたのに詰めが甘くて仕上げるのが困難だったことがよくある
・計画性を要する作業を行う際に、作業を順序立てるのが困難だったことがよくある
・約束や、しなければならない用事を忘れたことがよくある
・じっくり考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、遅らせたりすることがよくある
・長時間座っていなければならないときに、手足をそわそわと動かしたり、もぞもぞしたりすることがよくある
・まるで何かに駆り立てられるかのように過度に活動的になったり、何かせずにいられなくなることがよくある
・つまらない、あるいは難しい仕事をする際に、不注意な間違いをすることがよくある
・直接話しかけられているにもかかわらず、話に注意を払うことが困難なことがよくある
・家や職場に物を置き忘れたり、物をどこに置いたかわからなくなって探すのに苦労したことがよくある
・外からの刺激や雑音で気が散ってしまうことがよくある
Aのうち過半数以上該当する場合はアスペルガー症候群、Bが過半数以上の場合はADHDの傾向があります。
発達障害相談センターに相談する
最初から精神科を受診するのには抵抗があるという場合、発達障害支援センターにて相談することができます。
相談機関のため、診断や訓練は受けられませんが、支援センターに医師が訪問し簡易診断が受けられる場合もあります。
母子手帳や成績表などと照らし合わせながら、発達障害の可能性をみていくことが出来ます。
発達障害に関する悩みを相談し、お住まいの地域で受ける事のできる福祉サービスを知ることができます
病院を受診する(精神科・メンタルクリニック)
病院やメンタルクリニックで発達障害の診断を予約しましょう。
(受診される方が増えたこともあり、数か月待ちになることもあります。)
【受診の流れの例】
初回は問診、2回目に診断テスト、3回目に診断結果の通知、4回目以降は経過確認となり、初診から半年間、同じ症状が続く場合に発達障害と診断されます。
病院によってはデイケア(精神科に通われている方の生活リズムの改善やコミュニケーションの練習等、社会復帰を目指したグループ活動の場)を併設しているところもあります。
家族(本人)に話を切り出すには
家族から発達障害の話を切り出すことは非常に難しいことです。
「あなたは発達障害だと思うよ」なんて言われたら、一体どんな気持ちになるでしょうか?
しかし、発達障害と判明したことで気持ちが楽になった方も少なくないようです。
どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット
- 努力不足ではなかったことが証明され、気持ちが楽になる。
- 就労支援サービス等の福祉サービスを受けることが出来る。
- 障害者割引等、金銭面の負担も軽くすることができる。
- 障害者枠で就職を目指すことができる。
デメリット
- 「障害」という言葉に傷ついたりコンプレックスを持つ場合がある。
能力を認めるか、努力を認めるかの違い
発達障害の検査に進むにあたり、家族内でも意見が分かれる場合があります。
「うちの子が障害なわけがない!努力が足りていないんだ!」と否定する場合は、家族の潜在能力を信じているのでしょう。
「あの子はもう十分に努力している。一度検査を受けてみようよ。」と検査を勧める場合は、家族の努力を信じているのでしょう。
意見が分かれたとしても、ご家族を想う気持ちは双方ともに強く持っているはずです。ご家族だけで迷わずに、ぜひ一度ご相談くださいね。
自分自身のケアを心がける
多岐にわたる家族の支援
生活のサポートに加え、必然的に金銭面のサポートも必要で、仕事と家族の支援を両立されている方も多いと思います。「自分のことは二の次」という方も多いのではないでしょうか?
ストレスが溜まると、イライラして口調がきつくなったり、何もかも嫌になってしまったりしがちです
体力面や心理面でも消耗しやすい中、継続的に支援をしていく必要があるため、ご家族のためにも自分自身のケアを忘れないようにしていきましょう。
当事者家族の葛藤
なかなか仕事に就かない・復帰しない、そんなご家族についつい声を荒げてしまうことはありませんか?
筆者個人としては、うつで会社を辞め、再就職への不安や自己嫌悪にさいなまれた当事者としての経験と、発達障害の家族の生活を支える当事者家族としての経験もあり、どちらの立場の苦悩も想像できるつもりでいます。
「仕事に行きたくない」、「自分は不必要な人間だ」、「自分は迷惑をかける存在だ・・・」など、人それぞれですが、必ず何かしらの理由があります。家族に見放される不安と社会への恐怖との拮抗はとても孤独で、とてもつらいものです。
かといって、当事者家族も人間です。当事者の立場をふまえたとしても、「私だってしんどい!」と感情的になってしまうこともあるでしょう。
そんな自分を責めないでくださいね。きっと、いっぱいいっぱいになるほど、いつも頑張りすぎているんです。
しんどい気持ちを抱えきれなくなる前に、ぜひ私たちにご相談くださいね!
まとめ
今回はご家族向けに、発達障害の特徴と検査の進め方、家族としての接し方について書かせていただきました。
短くまとめておさらいしましょう。
「もしかしたら発達障害かもしれない」と思ったら
- 発達障害について知る(大きく分けて4種類ある)
- チェックシートで傾向を確認
- お近くの発達障害相談センターに相談してみる
- 病院で検査する
家族への接し方として
- 話を切り出す際、家族の気持ちを傷つけないよう最大限に配慮すること
- メリット・デメリットを伝える
- 努力不足ではないことが証明されて気持ちが楽になった方も多い
- 福祉サービスを活用し就労支援を受けることができる。
- 本人がコンプレックスに感じる場合がある
- 発達障害の検査を勧めるも反対するも、家族の努力や能力を信じている
自分のケアを怠らない
- 自分を二の次にしすぎると、ストレスがたまり逆効果
- 継続的に支援を続けるためにはセルフケアが重要
- 葛藤するのは当然。不必要に自分を責めないようにする
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今回は当事者ご家族に向けた記事を書かせていただきました。
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